※ 注意 ※
以下に解釈される要素を含む内容です
これらを苦手とされる方はご注意下さい

・ 性別変更(女体化)
・ カップリング(順平×真人♀)
・ IF(順平生存+呪詛師ルート)

作品内容に以下の要素を含みます
【性別変更(女体化)】 、 【カップリング(順平×真人♀)】 、 【IF(順平生存+呪詛師ルート)】
これらを苦手とされる方は、閲覧を控えるなどご注意下さい

順真♀掌編小説集 01

SS名刺メーカーで読む
くるっぷ - 010203
min.t (まひ子ちゃん関連SS全般まとめ)

至福とナースコール - じゅじゅらいぶ!!

 ここは、人と呪いが仲良く呪い合いケンカする都合のいい平行世界 ――

「アゲてけよ、ファン共!!」
 ステージの中心に煌めくアイドルが叫ぶ。満員のファン達のコールアンドレスポンスが轟く。
 至福の光景。光の海の最前列で、最古参の吉野順平は、万感の想いを込めてアイドルの名を呼んだ。
「真人さーんっ!」

 はじまりは、ひとりひとりだけのライブから。
 ナース、バニー、あと何か色々……属性大渋滞のアイドル衣装は、夢が駆け出したあの日と同じ。

果実と映画館 - 虚構の過日

 真暗な輝きの二つの色が、少年を憂き世から切り離す。
 ふとした仕草で、ふわりと揺れ広がる銀の幕。
 欲しかった台詞ことば。アドリブの誑誘ほほえみ
 怖れの結実は、どこか少年の好きな空間に似ていた。

桜と人魚 - 深海の花吹雪

 無意識の底から湧いたインスピレーション。
 脚を魚に変えたあたしが、海の底にいる。
 深くて、暗くて、冷たい海。
 私はそこで、静かに降り注ぐ白い無数の雪花を見上げていた。

 いつか、漏瑚がくれた絵本を読んだ影響かもしれない。
 いつか、花御が教えてくれた植物の影響かもしれない。
 いつか、陀艮が話してくれた事象の影響かもしれない。

 人間なんかの為に、泡になって死んだ馬鹿な人外の物語。
 人間が手を加えた、人間の手が無ければ繁殖いきられない樹。
 命の抜け殻が海に降る雪になり、光無い深淵で命を廻らせること。

 海底の私の手に、一片ひとひらが降りてくる。
 その時、深海へ。
 君が私を呼ぶ声が響いて、魂に波紋が広がった。

優越とコーラス - a cappella veemente

 僕の生きる音域パートが変わった。
 悲鳴、呻き声、軋む骨、爆ぜる血液、毒に染まる肉。魂がなくなる音の世界。
 そこには、音を重ねたいひとがいる。

あたしね、最近覚えた言葉があるんだ」
 音符のように小さくなった人間を飲み込んで、そのひとは僕の毒を『スモルツァンド』と例えてくれた。だから僕も、あなたの無為を『スフォルツァンド』に例えて応えた。
 今日、僕らが重ねた死の記号の不協和音。
「君とだから聴けた音だね」
 楽譜ほんのう通りのきれいな旋律に、僕は己惚れたくなってしまう。
 ふたりで重ねた音が、いつかの荒野に聴こえる日を想って。
 僕がいなくなった後もあなたの残響であったなら、どんなに嬉しいかと。

涙とモンタージュ - Over the Rainbow

 女によく似た呪いが、人間の少年に寄り添う。
 言葉を交わす中、ふと、少年の瞳から雫がこぼれた。
 呪いは瞠目する。落涙に至る魂の揺らぎを引き出したのは、予想外だった。
「……すみません」
「見せて」
「 ―― ?」
 少年が涙を拭うよりも早く、呪いの両の掌が彼の頬を包み込んだ。
 呪いの指を、手の甲を、温かな水が濡らしていく。
 生きたままの人間が涙する様を、こんなに間近で観察したのは初めてだ。彼のような数多の涙の継ぎ接ぎが、己を形作っているのだろう ―― 興味深いが面白くない。この薄い水の膜を隔てたら、世界の見え方はどう変わるのだろう ―― 面白そう。
「真人さん、なんで」
 少年の真似をして、呪いは両目から雫をこぼしていた。
 涙によって、見つめる少年の輪郭が歪む。見上げる混凝土壁の色が滲む。見下ろす水路と眼球の水が交わる。切り取られた雨上がりの空が煌めく。面白い、面白い、面白い。
 鮮やかな好奇心に弾かれて、少年の手を引き外へ駆け出した。
 己の涙は拭わない。少年に涙を拭う暇など与えない。
 何故彼も連れ出そうと思い立ったのかは解らないが、分かることならただ一つ。
「順平、見て!」
 世界を変えるフィルターを無くすなんて、とんでもない!
「瞬きする度に、涙をこぼす度に、虹が新しい色で見えるんだ。涙がなかったら、虹の多彩な表情を知らないままだったよ」
「本当だ ―― 虹が、綺麗ですね」
 手を繋いだまま、涙を湛えたまま。
 空を仰ぐ呪いと人間は、瞬きで変わり続けるふたりの世界を讃えていた。
題材提供元 - 二次創作お題素材ガチャ

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