Scene :: 2 - 1

ホームから線路に降り、軌条レールを辿って並んで歩く。
代わり映えのしない風景のもどかしさに振り返る度、駅舎の輪郭は暗闇と同化していった。遠くからいじらしく存在を主張していたあの弱々しい電灯の光の点も、今の場所からはもう見えない。

見えない……
見えない……? 何故だろうか。



駅から離れるほどに、徐々に周囲の風景がぼやけてくる。
怪異が共鳴者の目を霞ませているのか、風景を歪ませて惑わせているのかは分からないが、ささやかで明らかな異常である。

順平 おかしいな……さっきから、目が……
真人 私も。なんだか見えづらいなって……
真人 (眠らされた時みたいに干渉されてる?)
(肉体と魂の状態を把握しないと――)

Dice roll

<共鳴者達の状態を把握する>

技能提案 → 真人『★霊感』

真人
★霊感 Lv.2
D10 → 6(成功)
D10 → 1(クリティカル・ダイス)
クリティカル・ダイスにより「成功数+1」

成功数:3 トリプル/極限成功
真人
★霊感 Lv.2:D10 → 6(成功)/ D10 → 1(クリティカル・ダイス)
クリティカル・ダイスにより「成功数+1」

成功数:3 トリプル/極限成功

真人には、真人にしかない世界の見え方がある。
その視界で魂の形状を走査するも、変化は見当たらなかった。
感情の共鳴で内部から影響が出たわけでもなければ、肉体を直接弄られたわけでもない。怪異による干渉は、一切無かったのだと理解する。

真人 (……全員、干渉の形跡無し!?)
(じゃあ ―― 怪異自体がこの風景を作り出してるんだ!)
女性 どうしましょう……少し休んでから進むべきでしょうか。
真人 順平とお姉さんが疲れたっていうなら、休んでもいいけど。
目を治すのに休憩は必要ないよ。
私達は正常。景色の方が勝手にボヤけてるんだから。
女性 分かるんですか?
真人 まあね!
分かるからこそ、慣れちゃうまで危険に首突っ込めるわけ!
順平 僕は休むほどじゃないですけど……お姉さんは?
女性 実を言うと、お休みさせてもらいたいなと思ってます。
わたし、仕事帰りにきさらぎ駅に着いてしまったので。
順平 午前中に仕事帰りとなると ――
夜勤明けとか、早朝からのシフトだったんでしょうか?
お疲れのところ、大変でしたね……
女性 えっ、えっ……? 午前ってどういう意味ですか?
わたしが乗ったのは、23時台の電車でしたよ。
遠州鉄道の新浜松から……23時40分発の電車で……
順平 遠州鉄道!?
静岡の路線じゃないですか!
順平 お姉さんが乗った駅も時間も僕達とは違う、となると ――
僕達が半日近く眠らされたわけじゃないのなら……
真人 うん。私も順平と同じ事考えてた。
場所も時間も関係ないんだ。きさらぎ駅に連れて来られるのは。
女性 ……そん、な……
それほどどなると……強く信じざるを得ませんね……
きさらぎ駅は、存在する……存在、するんです……
順平 …………
お姉さん、休憩をとった方がよさそうです。
僕達も一緒に休んでいきましょう、真人さん。
真人 構わないよ。
座れそうな所は……っと。

視界がぼやけていなくとも、座り心地が悪いと分かるバラストの上。
一先ず道の街灯の下に集まり、少しでも良い場所を選んで座る。

真人 せっかくだしさ、休憩中に自己紹介しとく?
順平 あっ! すっかり忘れてました!
女性 すみません! わたしもうっかり!
真人 緊急事態だし仕方ないよ。気にしない、気にしない。
会話で聞こえてたとは思うけど ―― 私は真人。こっちは順平だよ!
順平 改めて、よろしくお願いします。
女性 こちらこそ。
女性 わたしは ――
いえ…… “わたしも” 。わたしの名前も、【はすみ】です。
順平/真人 !?
女性 葉っぱの『葉』に、純粋の『純』で【葉純】と書きます。
順平 投稿者さんと同じ名前だったんですね……
葉純 順平さんから情報を聞いた時、不思議と驚きはありませんでした。
【はすみ】の名前が、わたしがここにいる理由なんだろうな ―― って。
真人 (ここにいる、理由)
順平 同名だから狙われてしまった、とか?
巻き込まれた側としては、かなり迷惑な話ですね。
葉純 ええ……本当に……

女性 ―― 葉純が僅かに俯き、刹那の静寂が辺りを包む。
静寂が刹那であったのは何故か。それは、遠くから聴こえてくる音が静寂を許さないからだ。共鳴者達の耳の奥を揺らす、太鼓と鈴を鳴らすような音……一体、どこから……?

Dice roll

<音を聴く>

推奨技能
『*知覚』

順平 *知覚:D10 → 9(失敗)
真人 *知覚:D10 → 4(失敗)

太鼓と鈴の音、草木の騒めき、共鳴者達の呼吸や鼓動以外は聴こえない。

真人 みんな、聴こえてる? 太鼓と鈴みたいな音。
葉純 はい。遠いですが、ちゃんと聴こえてます。
順平 出所が分かりませんね……近づいてきたりしないでしょうか。

警戒を強めて辺りを睨む間も、音は遠いまま鳴り続けるばかりだ。
耳にするほど気味の悪さを感じる、祭囃子とは程遠い音色。それは、立ち止まった共鳴者達をこの場から立ち去らせたい警告音のようにも思えた。

真人 うっわ……段々嫌な音に聴こえてきた……
真人 残念だけど、休憩してる暇はないみたい。
ここを離れた方がいいかも。
順平 葉純さん、もう歩いても平気ですか?
葉純 ちょっとでも座って話せただけで楽になりました。
いつでも行けますよ!
真人 焦らせてごめんね。トンネルに急ごうか。

いち早く立ち上がった真人の視界に、ふと、前触れなく影が現れた。
共鳴者達の居る街灯の、一つ手前の街灯の下。距離にして20mにも満たない位置に “人がいた” のだ。



霞み歪んだ風景の中で『杖を手にした片足の無い老人』だと分かるほど、はっきりと。

真人 なに、あいつ。
順平 真人さん? 何か見つけ ――
順平 ……うわ、っ……!?
葉純 う……っ!!

Dice roll

<共鳴判定:強度3/上昇1>

∞共鳴感情:[ 恐怖(情念)]
感情マッチング『真人 ダイス × 2』

順平
D10 → 6(失敗)

真人
D10 → 10(エラー・ダイス)
D10 → 10(エラー・ダイス)
エラー・ダイスにより「成功数-2」

真人:マイナス/致命的失敗

マイナスペナルティ
真人 → ∞共鳴レベル「1上昇」
順平:D10 → 6(失敗)
真人:D10 → 10(エラー・ダイス)/ D10 → 10(エラー・ダイス)
エラー・ダイスにより「成功数-2」

真人:マイナス/致命的失敗

マイナスペナルティ発生
真人 → ∞共鳴レベル「1上昇」

シナリオ独自パラメータ
このシナリオには、独自のパラメータが存在する

<ネット実況信用値>

・共鳴者が異界での体験をインターネット実況する判定に成功するたびに、成功数が加算されていく
・共鳴者たちの実況がどの程度ネット上の人々に信用されたり注目されているかを示す
・この数値が高まれば高まるほどネットを介して有益な情報が得られる
・しかし、同時に■■■■■■■■に■■■■■■■■■なり、■■■■が■■■■■■
・■■■■■■■■の共鳴判定の強度は、ネット実況信用値の現在値と同じ値になる

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